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OECDが公表の新貿易統計:付加価値統計とは!?~日本の貿易摩擦がまた指摘されるのか?~

2014年03月15日 ネズミ1号:略称「T」
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最終消費財輸出を牽制し貿易摩擦を回避してきた日本が叩かれる日がまた到来する!?

OECD(経済開発機構)と正解貿易機関(WTO)が1月に『付加価値』の流れを追う新しい貿易統計を公表しました。この統計は、GDPの計算などに使われる付加価値の合計統計と同じようなもののようですが、要は付加価値の二重計算をしないという方法のようです。例えばパンを最終生産物とした場合に「農家が生産する小麦」「製粉所」「パン工場」という3つの付加価値よりパンという最終生産物の価値が形作られていることになるのですが、今までの貿易統計では、例えば液晶パネルというケースなど「プロダクト企画販売メーカー」「部品メーカー」「アッセンブル工場」といった付加価値で構成されていた最終製品としての液晶パネルの最終販売価格が取引価格と計上されていたそうです。メーカーが立地する国では、部品の付加価値、工場で組み立てた付加価値を合算して計上していたわけです。


 

 

2重計上を無くす付加価値統計でみると日本は対米輸出が6割も黒字に

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先にパンの例を出しましたが、農家と製粉所とパン工場の付加価値をそれぞれ1、2、3としたとすると最終生産物であるパンを販売したパンメーカーの付加価値は右図の黄色の部分の1のみとなります。
たしかに販売価格は3なのですが、農家から仕入れた小麦や製粉所の加工代もパンの価格に転嫁されているわけです。新しい指標の貿易統計では、この仕入に該当する付加価値を差し引いて貿易の流れを追うというものみたいなものとして考えると分かり易いと思います。

実際の貿易に置き換えてみると、日本のお得様は実は先進国であり米国だった

クリントン政権時代は、日米貿易摩擦が激しく、垂直統合型の日本メーカーから輸出される最終消費財は、さまざまな圧力をかけらえていたと思います。プラザ合意以降の円高政策、中国などのエマージング市場へ米国が積極的に投資し、日本をいわば封じ込めるような施策をとってきた背景にはこうした貿易摩擦があったとも言われています。しかし、実はものを製造するために必要な工作機械やオーダーメイドなどの特殊な半導体、特殊な合成技術が必要な鋼板や素材などは日本から新興国のアッセンブル型企業へ向けて部品の心臓部として輸出されていたのです。
最終消費財としての形でなければ貿易統計に計上されないので、日本にとって中国の貿易比率が米国のそれを抜くような見え方になるのも明確です。ソニーや松下など最終製品の形にこだわったメーカーは日本でも軒並みリストラクチャリングを迫られています。一方で日立や東芝など原子炉や発電タービン、そのほか機関商品などの分野へシフトした企業は軒並み過去最高益を出しているわけです。

韓国メーカーへの東芝の技術流出事件が立件される

日本企業の技術者が週末日帰りで韓国へ飛び、数百万円もうけとるといった副業はメーカーの社員の間では10年以上前から言われてきたことだといいます。今回の東芝の件は、東芝が開発したナンド型フラッシュメモリーの技術で、当時RAMといわれ、一時的にしか記録できなかったメモリー回路にナンド型の機構と取り入れることで、電気を通電しなくともメモリーを保持できるようになるという技術だったと思います。カメラのSDカードなどの製品として市場にでることになったわけですが、今市場を独占しているのは韓国メーカーなどなのは皆さんもご存知でしょう。こうした過去の事件をこのタイミングで立件しはじめたということは、生命線である部材について、米国などとのバランスをとる上で黙認してきた事情が変わったことを表しているのかもしれません。サムソンなどは基礎技術開発投資を行わず、国の予算を最大限りようして技術を仕入(そのやりかたについてはいろいろあると思うのでこちらでは割愛します)安値で市場を駆逐するという戦略をとってきましたが、昨日の官房長官のお話にもあったとおり、技術情報については日本でも厳しく取り締まる方針が打ち出されました。

今や成熟国にとっては付加価値を生む産業が生命線となっていると言われています。当ブログでのこのテーマについて以下のような記事などで考察してたりしていますが、ご興味のある方ご覧になってみてください。

世界的なディスインフレ:先進国の賃金水準、新興国にあわせ低下し続ける!?

2014年以降世界はデフレ縮小化方向へ向かうが、日本ではバブルが演出される!?

「共食い」がはじまる先進国経済。人口知能(AI)による人口減と適切な発展サイクル

世界経済は失われた10年いや20年に突入する!?逆グローバル化概念で今後の米国産業構造を妄想してみた

日本の経常収支「赤」字のトリック。日本経済は本当にヤバいのか!?

今後流れとしては、低賃金労働者による労働集約型のモデルによる経済の維持・成長は限界が訪れ、ある程度の母体がそれなりの生活ができるようになる成熟国では付加価値とうい観点が非常に重要となるという事なのだと思います。日本が他国へ技術を売り渡した個人を逮捕する流れを明確に打ち出したのも、ようやくまともな国になりつつあるという表れか、こうしたマクロな文脈での政治的な折り合いが付きつつあるということなのでしょうか?

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