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日銀追加緩和:円安と株高が演出される!?という論調を多く目にするが本当はどうなのか!?

2014年11月02日 ネズミ1号:略称「T」
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Reuters:31日(土)に日銀による追加緩和が発表されました。長期国債を80兆円規模へ増加するようですが、うち増額分の30兆円は、GPIFが保有し、減額する30兆円と合致するといった記事も目にします。GPIFは年金資金を運用する機関ですが、今までは、日本国債を中心に、リスクテイクしない運用がなされていたようです。数か月前から株式への投資などもっとリスクテイクする運用方針への転換なども叫ばれていたようですが、日銀の追加緩和、その内容は多くが長期債券保有によるものだということなので、GPIFが手放す国債を日銀がバランシングするような内容と言われているようです。


 

 

日銀が国債を引き受け、巨大な年金運用資金が市場へ流れるようになる

日銀が引き受ける30兆円相当の国債保有がGPIFから減じられるそうですが、その資金の今後の運用先については、株式へシフトするのではと言われています。GPIFというと世界でも屈指な資金量を有する機関だそうですが、30兆円近くが今後、株式市場へ放たれる訳です。専門家によるポートフォリオが組まれるので、海外株式も買われるかもしれませんが、日本国内の株に限って言うと、日経平均の底上げ(株高)に貢献するのでしょし、円=ドルレートでいうと、今後ますます金余りとなる円が対ドルに対して安値を付けてゆく力が働くようになるという図式が見えてくるようです。

円安が進むことで、落ち着きつつある原油安もストップ、輸入物価上昇によるインフレも進行する!?

円安になって、株価があがるという流は、皮肉なことなのかもしれませんが、日本のメディア論調としては、今回の意表を突いた追加緩和施策について疑心暗鬼な論調が多いようです。ちょうとタイミングを同じくしてクルーグマンのAplologizingToJapanという記事がNYTimesにのっていたのですが、この記事の内容は、20年にも及ぶ、バブル崩壊後の日本の経験を見ていながら、西洋諸国は、この教訓を生かし、適切にデフレ解消へ向けた政策を打つことができなかったという内容です。

資金需要の無い中でQEをやっても限界がある、最後の資金需要は政府が満たすしかない!?

具体的には、ニューディール政策とも言える日本が実施した大々的な公共投資は正しかった。しかし、その後の緊縮財政が景気回復の梯子をはずしたという内容のようです。実際この公共投資により経済は上向き、デフレ脱却のチャンスがあったが、消費税を増税し、緊縮財政に走ったしまってデフレスパイラルにハマったこと。米国、EUでは、QEはやったが、金融危機後のマネー需要が無い中で、最後の資金需要を担うべき公共投資がほぼ壊滅状態であること。そしてQEによる膨らみすぎたバランスシートを改善すべく、ヘリコプターマネーも蛇口を絞るという最悪な運用となっていますのでは?「実は1990年代当初は思いもつかなったような日本よりもより深刻なスランプに陥ってしまったのでは?The point, however, is that the West has, in fact, fallen into a slump similar to Japan's but worse . that wasn't supposed to happen. In the 1990s」という趣旨と原文を読ませていただきました。

NYtimes「Apologizing to Japan(Paul Krugman)」より

What policy failures am I talking about? Start with government spending. Everyone knows that in the early 1990s Japan tried to boost its economy with a surge in public investment; it's less well-known that public investment fell rapidly after 1996 even as the government raised taxes, undermining progress toward recovery. This was a big mistake, but it pales by comparison with Europe's hugely destructive austerity policies,  the collapse in infrastructure spending in the United States after 2010. Japanese fiscal policy didn't do enough to help growth; Western fiscal policy actively destroyed growth.

どこが失敗か?緊縮財政の罠ということから話そう。誰もが知っているように、1990年代に日本は、公共投資により景気の下支えをしようとしていた。あまり知られていない事かもしれないが、1996年以降、この公共投資は、急激に減らされ、さらに増税がされたのであった。ちょうどまさに景気回復への上向きグラフが上昇したまさにそのタイミングでだったのです。これは今見ると大きな失敗だったと言えます。しかし、今ヨーロッパ諸国や米国では、この日本の失敗が見劣りするぐらいの大きな失敗を犯そうとしていると言える。米国では2010年以降インフラ投資は事実上崩壊し、ヨーロッパはイギリスとをはじめとして緊縮財政に大きく舵を切っている。つまり端的に言うと、日本の財政運用は、景気回復を止める政策であり、西洋の財政政策は、成長を破壊するものであると言える

1918年の世界恐慌下で実施されたニューディール政策

今が恐慌下なのかどうかは、さておき、資金需要がなく、誰も実態経済下で借金をして投資をしない、借金はもう懲り懲りだというマインドになっている状況下では、需要も生まれず、景気は悪くなるばかりなわけです。そうなると最後の資金の使い手は政府ということになりますが、クルーグマンの「日本よ謝罪する」という記事は、実際日本が行ってきた公共事業投資などは間違っていなかったということなのでしょう。遠回しにいうと、これまで経済の教科書どおりに、金利を下げても、さらに量的な金融緩和しても、資金需要がないのであれば、景気は回復しないのだと認めたような記事でもあります。このあたりは、バランスシート不況という呼び方をしているリチャード・クー氏の考え方にも似ていますが、現在日本政府がとろうとしている政策は、増税&財政規律という方向です。一方で、GPIFといった巨大な年金資金は日本国債を手放し、株式へ運用の矛先を移そうとしています。またその国債減額分を日銀が担うような「総力戦の構え」などという論調も目にしますが、今から100年近く前にも、世界恐慌下で米国で実施されたニューディール政策が恐慌を脱する政策としてなされたということは、中学や高校教科書でも乗っていたりもするのです。

日銀追加緩和に秘められたメッセージを読み解いてみると。。

今日本の借金はGDPの約2倍以上の1000兆円を超えるに至っています。日銀が引き受けた30兆円はおおよそ年間国債発行額の9割ぐらいに想定するように思いますが、もっと深読みすると、来年度予算において、国債発行額を短期的に増やす流があるのかもしれません。老朽化した道路、や橋、防災対策等実は高度成長期時代から作られてきた数々のインフラもメンテナンスが必要な時期に来ているとも言えます。どちらかというと新たなものを作るというよりは、こうした投資に国債が上澄みされるのかもしれません。消費税については、日本の場合ヨーロッパの付加価値税と違い、なんだかんだ言って一律で10%課税する間接税です。累進課税の所得税やその他法人税の税収入を超えるいわば財政における主要な収入源になっているともいえる規模ですね。

名目は、増える社会保障費へ回すということとなっていますが、税収入を増やさないと、国債発行による借金がさらに膨らむということも示唆していることなのかもしれません。景気が停滞すれば、財政出動にする公共投資をしなければならくなる、そのためにも、あと2%増税しなければ。。という見方をすると、また違った見え方ができるのかもしれません。

もっというと、円安、株高を演出した今回の追加緩和発表ですが、輸入物価高、消費税増税による庶民の財布の紐がますます固く閉ざされることになり、確実に需要はしぼむともいえます。そうなるからこそ、財政出動せざるを得なくなるという流れも織り込んでのシナリオが描かれているのかもしれません。もしか、GPIFの30兆円もの資金が、QEがエグジットする米国などの株価底ざさえのためにリスクマネーとして投資されるのかもしれません。そうなるとメディア各誌の記事のように今後日本株が上がり局面にということにはならないようにも思いますが、今後のGPIFの投資ポートフォリオはどういう形なるのか、気になるポイントとなるかもしれません。



2014年11月02日 ネズミ1号:略称「T」
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